HOME > 労働問題よくあるリスク > 「名ばかり管理職」って?20代から役職をつけて残業適用除外にしている会社がありますが・・・さて、どんなトラブルが待ち受けている?
労働問題よくあるリスク
「名ばかり管理職」って?20代から役職をつけて残業適用除外にしている会社がありますが・・・さて、どんなトラブルが待ち受けている?
監督若しくは管理の地位ある者(以下、「管理監督者」という。)については、労働時間、休憩及び休日に関する労働基準法の規定が適用されませんので、時間外・休日労働に対する割増賃金を支払わなくてもよいことになっています。(同法第41条)
ただし、深夜業の関係規定は適用が排除されませんので、管理監督者であっても深夜業を行った場合には、会社は割増賃金を支払う必要があります。
なお、労働協約、就業規則その他によって、深夜業の割増賃金を含めて所定賃金が定められていることが明らかな場合には、別に深夜業の割増賃金を支払う必要はありません。(昭63年3月14日基発第150号他)労働基準法が管理監督者について、労働時間や休憩、休日の規定を適用しないのは、その地位の性質上出勤、退社に拘束されず、比較的自由に休憩や休日をとることができるからであると解釈されています。(現実的には必ずしもそうではありませんが)一方、深夜業は労働時間の長短の問題ではなく、労働する時間帯(午後10時から午前5時)の問題であることから、その身体的負担に代償を求めているのでしょう。
それでは、管理監督者とは?「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」と通達されています。
重要な職務と権限が与えられていること
企業の経営方針や労働条件、採用の決定に関与していて、経営者と一体的な立場にあることが求められます。一般的に店長は、店舗の運営においては重要な職責を負っていますが、企業全体の経営についての関与の程度が問われます。また、人事考課を行う、遅刻欠勤等の承認を与える、業務の指示をする等、労務管理上の指揮権限があるかどうかも判断の要素になります。
出退勤について管理を受けないこと
管理監督者であっても深夜勤務手当の規定の適用は除外されていませんし、企業には安全配慮(健康に配慮する)義務がありますので出退勤時刻の把握は必要です。 したがって、出退勤の際にタイムカードの打刻を義務付けていたとしても、直ちに管理監督者と認められなくなる訳ではありません。ただし、始業・終業時間を拘束して、遅刻・早退の際に給与を減額したり、懲戒処分の対象としているような場合は、自由裁量がないと判断されて管理監督者とは認められません。
賃金面で、その地位に相応しい待遇がなされていること
通達でも「定期給与である基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等」も判断の要素とされています。(管理監督者でない)係長から、(管理監督者としている)課長に昇格したら、残業手当が出なくなって給与が下がる例もありますが、これは管理監督者と認められない要素になります。